ここでは、相続財産が不動産しかない場合の遺言書によるトラブル防止対策を一緒に確認していきます。まずは、下記の事例をもとに見ていきましょう。
家族構成
お父様:5年前に他界
お母様:80歳
お兄様:48歳。バツいち。再婚して子供1人
花子さん:45歳。未婚
5年前にお父様が亡くなった際の相続では、お父様の名義の不動産(土地・建物)と預貯金200万円ほどをすべてお母様が相続しました。
この不動産はお父様が亡くなる前年度にリフォームしていたので、建物の評価が600万円。土地の評価が1,500万円となっており、合わせて2,100円の固定資産評価額となっておりました。
花子さんは、お兄さんと遺産相続でもめてしまうことが心配でした。
というのも、花子さんはお母さんの介護をしながら同居していますが、もしも今後、起こり得るお母様の相続でもめてしまうと、お母様の財産は下記のとおりで完全に不動産に偏っているので、遺産分割が非常に心配な状況です。
こうした状況で、兄弟2人で法定相続にしようとお兄さんに言われてしまうと、相続財産の 総額が2,400万円 ですから、もし、花子さんがお母様と暮らしてきた自宅に住み続けようとすると、半分の1,200万円をお兄様が相続 するにあたって、預貯金の300万円を渡すだけではなく、自らの財産から900万円もの現金を渡さなくてはいけなくなってしまいます。
こうしたトラブルになってしまうと、花子さんは自宅を売却してお金を作るしかないので、生活する場所を奪われ、非常に苦しい立場になってしまいます。
また、お兄様との関係は悪くは無いものの、再婚したお兄様の奥様との面識も無いほか、お兄様も仕事を転々としているので、生活も豊かではない様子。
こうした状況を鑑みて、10%でも、5%でもリスクがあるのは良くないとお母様は考えて不動産は花子に、残った金融資産は長男に、という遺言書を作成することにしました。
大野行政書士事務所
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